2010.11.02 Tuesday
高千穂あまてらす鉄道と高千穂橋梁
宮崎県延岡市と高千穂町の50km間を五ヶ瀬川に沿って結んでいた高千穂鉄道。線路は五ヶ瀬川やその支流を何度も渡るために橋梁が多く、その中には東洋一の高さを誇る鉄道橋や、連続するアーチが美しいコンクリート橋などもあり鉄道構造物の見所も豊富です。平成15年にはトロッコ列車が運行され話題となり、私も乗ってみたいと思っていました。しかし平成17年の台風により、路盤や橋梁が流失してしまうなどの甚大な被害を受けて全線運休となってしまいます。そして膨大な復旧費用などの問題が解決できないため、同社による運行再開は断念されることに。
そこで運行再開を目指し、地元の観光・商工関係者により「神話高千穂トロッコ鉄道株式会社」が設立されます。しかし資金面だけでなく様々な問題(Wikipedia高千穂鉄道参照)が発生。その様な中で平成19年12月に延岡〜槇峰間が廃止決定、平成20年12月には槇峰〜高千穂間の廃止が決まり、ついに全線廃止となってしまいました。現在、高千穂鉄道の設備や軌道などは沿線の自治体が譲り受けています。
平成20年4月、神話高千穂トロッコ鉄道は「高千穂あまてらす鉄道株式会社」と改名。最終的な目標は“全線復活”としながらも、当面は鉄道記念公園の指定とその管理者への選任を目指すとして、現在は高千穂〜天岩戸間で“遊具”による鉄道運行をしています。
さて、前置きが長かったのですが、今回はその“遊具”と“東洋一の高さの鉄道橋”を目当てに高千穂町を訪れてみました。
廃止されて間もないためか、Googleマップにもきちんと駅として記載されている高千穂駅。高千穂鉄道の看板もあり、廃止されていることを知らなければ普通に“駅”です。
現在、高千穂駅構内は「高千穂鉄道みに公園」として公開。入場するには駅の窓口で環境整備費として100円を支払います。
高千穂鉄道の車輌は譲渡されたり解体されたものもありましたが、車庫には2輌が展示保存されていました。
車輌は運転席など内部も公開されていますが、点検用のピットにも潜り込めるようになっています。ここで初めて鉄道車両のディーゼルエンジンを間近で見ましたが予想以上に大きくて驚きました。でっかいターボもついていましたよ。
そして本日のメインイベントが、この“スーパーカート”に乗ることです。高千穂駅から隣の天岩戸駅までの2.2km区間を約25分で往復します(料金は700円)。“遊具”だと思っていたら意外としっかりした造りになっているこの車輌。実は「スーパーカート」という商品名で、鉄道の保守点検用に作られ販売されているものです。東光産業株式会社製で、ホンダの160cc汎用エンジンを搭載しMAX25km/hだそうです。乗車定員は4名。上の写真はスーパーカート2輌が連結されています。
運転は係りの方が1人付いてくれます。このようなカートを運行するにあたり法的にはどうなのかと思い尋ねたところ、施設を所有する町の許可と車の運転免許があればOKだということでした。
それにしてもこのスーパーカートの乗り心地は最高。とても小さな車体で、乗員を囲むものは何もありません。小さなイスに腰掛けて前方の棒を握るだけ。それで20km/hくらいで線路を走るわけですから想像以上にスピード感があります。遊園地の乗り物よりスリリングかも。何より普通の鉄道の線路を、このような乗り物で走れることが面白いですね。
※上記の動画は編集して行程を短くしてあります。
高千穂駅を出て約10分で天岩戸駅に到着。途中には橋梁やトンネルもあり、また風景も変化に富んでいてあっという間に到着したという感じです。
この天岩戸駅の直ぐ先に、かつて“東洋一の高さの鉄道橋”を謳われていた高千穂橋梁があります。(上写真は高千穂駅方面を向いて撮影)
ここではカートを降り、係りの方の説明を聞くことができます。高千穂橋梁は上写真のように柵が造れており、現在は通行や立入はできません。「ここをスーパーカートで通行できたら面白いのに」と尋ねてみると、「橋の上では下から吹き上げる風が強くてカートの様な軽い車輌は危険なので通行できない」とのことでした。
高千穂橋梁は1972年の国鉄高千穂線日之影〜高千穂間開業から供用開始。下を流れる岩戸川からの高さは105m、三連の上路ワーレントラス橋で構成され全長は352.5mあります。(上の写真は南側にある国道218号の雲海橋から撮影)
ちなみに現在、この高千穂橋梁も高千穂町の所有になっています。今後の活用方法など、具体的なことは決まっていないとのこと。維持に多額の費用がかかるのは容易に想像できますが、カートを通す対策をするなり、歩道とするなり何らかの活用方法が見つかって欲しいものです。
県道237号から農道へ少し入ると、真下から見上げることができます。
高千穂橋梁の北側で岩戸川を渡る、県道237号の鹿狩戸橋から撮影。谷底の岩戸川も見え、高千穂橋梁の高さも際立ちます。
左側のマーカーはスーパーカートが発着する高千穂駅。一番右端のマーカーが高千穂橋梁で、その左隣が天岩戸駅。
スーパーカートは今年(平成22年)の夏休み限定でのイベントでしたが、来年3月まで延期されるとのことです。運行についての詳細は以下の公式サイトでご確認ください。
【関連サイト】
「高千穂あまてらす鉄道株式会社」
【関連記事】
「雑記帳:高千穂鉄道の現在」
「雑記帳:気になるニュース2題」
「雑記帳:第一白川橋梁 」
そこで運行再開を目指し、地元の観光・商工関係者により「神話高千穂トロッコ鉄道株式会社」が設立されます。しかし資金面だけでなく様々な問題(Wikipedia高千穂鉄道参照)が発生。その様な中で平成19年12月に延岡〜槇峰間が廃止決定、平成20年12月には槇峰〜高千穂間の廃止が決まり、ついに全線廃止となってしまいました。現在、高千穂鉄道の設備や軌道などは沿線の自治体が譲り受けています。
平成20年4月、神話高千穂トロッコ鉄道は「高千穂あまてらす鉄道株式会社」と改名。最終的な目標は“全線復活”としながらも、当面は鉄道記念公園の指定とその管理者への選任を目指すとして、現在は高千穂〜天岩戸間で“遊具”による鉄道運行をしています。
さて、前置きが長かったのですが、今回はその“遊具”と“東洋一の高さの鉄道橋”を目当てに高千穂町を訪れてみました。
廃止されて間もないためか、Googleマップにもきちんと駅として記載されている高千穂駅。高千穂鉄道の看板もあり、廃止されていることを知らなければ普通に“駅”です。
現在、高千穂駅構内は「高千穂鉄道みに公園」として公開。入場するには駅の窓口で環境整備費として100円を支払います。
高千穂鉄道の車輌は譲渡されたり解体されたものもありましたが、車庫には2輌が展示保存されていました。
車輌は運転席など内部も公開されていますが、点検用のピットにも潜り込めるようになっています。ここで初めて鉄道車両のディーゼルエンジンを間近で見ましたが予想以上に大きくて驚きました。でっかいターボもついていましたよ。
そして本日のメインイベントが、この“スーパーカート”に乗ることです。高千穂駅から隣の天岩戸駅までの2.2km区間を約25分で往復します(料金は700円)。“遊具”だと思っていたら意外としっかりした造りになっているこの車輌。実は「スーパーカート」という商品名で、鉄道の保守点検用に作られ販売されているものです。東光産業株式会社製で、ホンダの160cc汎用エンジンを搭載しMAX25km/hだそうです。乗車定員は4名。上の写真はスーパーカート2輌が連結されています。
運転は係りの方が1人付いてくれます。このようなカートを運行するにあたり法的にはどうなのかと思い尋ねたところ、施設を所有する町の許可と車の運転免許があればOKだということでした。
それにしてもこのスーパーカートの乗り心地は最高。とても小さな車体で、乗員を囲むものは何もありません。小さなイスに腰掛けて前方の棒を握るだけ。それで20km/hくらいで線路を走るわけですから想像以上にスピード感があります。遊園地の乗り物よりスリリングかも。何より普通の鉄道の線路を、このような乗り物で走れることが面白いですね。
※上記の動画は編集して行程を短くしてあります。
高千穂駅を出て約10分で天岩戸駅に到着。途中には橋梁やトンネルもあり、また風景も変化に富んでいてあっという間に到着したという感じです。
この天岩戸駅の直ぐ先に、かつて“東洋一の高さの鉄道橋”を謳われていた高千穂橋梁があります。(上写真は高千穂駅方面を向いて撮影)
ここではカートを降り、係りの方の説明を聞くことができます。高千穂橋梁は上写真のように柵が造れており、現在は通行や立入はできません。「ここをスーパーカートで通行できたら面白いのに」と尋ねてみると、「橋の上では下から吹き上げる風が強くてカートの様な軽い車輌は危険なので通行できない」とのことでした。
高千穂橋梁は1972年の国鉄高千穂線日之影〜高千穂間開業から供用開始。下を流れる岩戸川からの高さは105m、三連の上路ワーレントラス橋で構成され全長は352.5mあります。(上の写真は南側にある国道218号の雲海橋から撮影)
ちなみに現在、この高千穂橋梁も高千穂町の所有になっています。今後の活用方法など、具体的なことは決まっていないとのこと。維持に多額の費用がかかるのは容易に想像できますが、カートを通す対策をするなり、歩道とするなり何らかの活用方法が見つかって欲しいものです。
県道237号から農道へ少し入ると、真下から見上げることができます。
高千穂橋梁の北側で岩戸川を渡る、県道237号の鹿狩戸橋から撮影。谷底の岩戸川も見え、高千穂橋梁の高さも際立ちます。
左側のマーカーはスーパーカートが発着する高千穂駅。一番右端のマーカーが高千穂橋梁で、その左隣が天岩戸駅。
スーパーカートは今年(平成22年)の夏休み限定でのイベントでしたが、来年3月まで延期されるとのことです。運行についての詳細は以下の公式サイトでご確認ください。
【関連サイト】
「高千穂あまてらす鉄道株式会社」
【関連記事】
「雑記帳:高千穂鉄道の現在」
「雑記帳:気になるニュース2題」
「雑記帳:第一白川橋梁 」