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九州の近代化遺産・産業遺産を見て・調べて・紹介!するブログ

熊本バス ブルドッグ30-45号車

 熊本県内で路線バス・貸切バス事業を展開している「熊本バス株式会社」には、全国でもただ1台という珍しいバスがあります。

熊本バス ブルドッグ

 このバスは昭和57年6月製造の三菱自動車工業製K-MP118K。一見すると何の変哲もない普通の路線バスですが、その正面の顔つきから「ブルドッグ」の愛称で全国のバスファンの人気を集めています。昭和58年前後には生産が終ったモデルで、全国の路線で活躍していた「ブルドッグ」も次第にその数を減らしていきます。そして現在、現役で活躍しているブルドッグは、全国でも熊本バス株式会社のこの1台だけとなっているのです。

熊本バス ブルドッグ

 実走行値なのか確認はしていませんが、メーターは92万kmを回っている様子。28年間で地球を23周ってところでしょうか。速度計の針とアナログ時計の針が同軸になっているのが“メーターフェチ”にはたまりません(笑)。

熊本バス ブルドッグ

 とても古い車両のはずですが、細部にわたりご覧の美しさ。実は少し前に再塗装をしたばかりだそうですが、この美しさの秘訣はそれだけではないようです。熊本バスでは車両ごとに担当者が決められており、運転をするだけでなく洗車や日常点検までも受け持つとのこと。このバスを見ていると担当者が愛情込めて接していることがよくわかります。だからこそ、今でも現役で走り続けられる訳ですね。

熊本バス ブルドッグで甲佐駅跡にて

 実はこれ、今年3月に開催された「熊本バスブルドッグで訪ねる熊延鉄道跡探訪」という熊本産業遺産研究会とバス愛好家によるイベントでのひとコマ。熊延鉄道とは、JR南熊本駅(熊本市)から砥用町までの28kmを結んでいた鉄道。熊本から宮崎県延岡市までを結ぶ計画だったことから社名は“熊延”となっていましたが、昭和39年に鉄道事業は廃止になります。そして社名を「熊本バス」に変更し現在に至っています。

 今回の企画では熊延鉄道OBや熊本バス関係者、熊延鉄道専門サイトともいえる「You−enてっど」のてっどさんも参加。移動するブルドッグ号の中では、関係者の方々の貴重な話で大盛り上がり。今回はじめて知る熊延鉄道遺構も沢山あり、とても楽しいバスの旅となりました。

熊延鉄道 南熊本発砥用行きの切符

 車内では、参加者の皆さんが持ち寄った写真や資料など貴重な品々が回覧されていました。写真は南熊本-砥用間の切符。

熊本バス ブルドッグ

 このブルドッグ、路線バスとしての設備は整っているものの現在は小学校のスクールバスとして活躍しているそうです。毎日乗る子どもたちは、このバスが“実は特別なバス”って知っているのかな?

【関連記事】
雑記帳・熊延鉄道遺構

【関連サイト】
You−enてっど
熊本バス
熊本バス(wikipedia)
熊延鉄道(wikipedia)
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クレーン船「大金剛丸」

 福岡県大牟田市の三池港は、2008年の今年で開港100周年を迎えました。その三池港内に鮮やかな黄色のクレーン船「大金剛丸」が係留されています。大金剛丸は三池港“開港時”からの港湾施設の一つで、1905年に中古で購入され築港工事にも従事したといわれています。

クレーン船大金剛丸

 名前のイメージとは似合わず小さな船体で、推進用のエンジンを持たないので曳航して使われます。船体は元々木造だったものを1962年に鉄製に交換。捲上荷重15トンのクレーンの部分は、103年間変わらず荷役作業に従事しています。

クレーン船大金剛丸

 明治からの姿を留める可愛らしい姿の木造上屋。内部には動力源である石炭ボイラーと蒸気機関、数多くの大きな歯車が納められています。


 係留されている浮き桟橋は立ち入り禁止ですが、岸壁からもよく見ることができます。今度は働いている姿を見てみたいものです。

【関連記事】
マップ:No.07 三池港港湾関連施設

【関連サイト】
ALL-A」> クレーン船 大金剛丸

【参考文献・関連図書】
九州遺産」砂田光紀・弦書房
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ブルドーザー カブトムシ!?

 ある日、遺構探索の途中で道路脇に朽ち果てているブルドーザーを見つけました。私は特に重機マニアというわけではありませんが、こういう古い廃重機や廃車、廃機械類などを見つけるとついついメーカーや車種を確認してしまいます。いや、確認しないと気が済みません(笑)。

ブルドーザーカブトムシ

まず目に付くのはフロントグリルについている大きめのエンブレム。小松とは雰囲気が違うなあと思いながら近づくと…。

ブルドーザーカブトムシno

「KABUTOMUSHI」!?カブトムシ!?しかもご丁寧にカブトムシのイラストまで!カブトムシは昆虫の中でも力持ちだというイメージがありますが、それにちなんだネーミングなのでしょうか。今までに見たこともないエンブレムに驚きつつ、車体にメーカー名を探しました。

ブルドーザーカブトムシ

車体左サイドに主張するかのように大きめのサイズでプレートが張ってあり、そこにも「ブルドーザー(絵)カブトムシ」!
 メーカーは静岡県沼津市の早崎鐵工所となっています。私はこのメーカーの詳細は掴んでいませんが、「静岡県沼津市 早崎鉄工所」で検索してみると某有名大型匿名掲示板でいくつかの情報を見ることができます。

 普通だったらそのまま見過ごすようなものなんですが、ネーミングのセンスが良かったんで今回は雑記帳で紹介させてもらいました(笑)。
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円形分水

 産業遺産ではないのですが、面白いと思ったので紹介します。熊本県山都町にある農業用水の現役施設なのですが、見たまんまの“円形分水”というものです。200mほど離れたところから取水された水は、コンクリートで作られた直径6mの円筒の中心から勢いよく沸きあがり、周囲の溝に流れ落ちています。円形分水の意味を知らないと、ちょっと不思議なモノに見えるのではないでしょうか。

円形分水

 この円形分水は外側を囲む溝に仕切り板が2枚入っており、円筒から流れ出た水を7:3の比率で分け2方向の用水へ流しています。円形分水は水を平等にわかりやすく配分するために考えられた構造で、一見して円グラフのように比率を見ることができる仕組みになっています。大分県竹田市にも3分配の円形分水「音無井路十二号分水」があります。

 分水の比率は流域の耕作面積などにより決定され、7:3の7割の方は国重要文化財の通潤橋がある通潤用水に流れています。通潤用水自体は1857年に完成していますが、この円形分水は昭和31年に野尻用水への分水を行うために作られたものです。現在、周辺が公園化されており、案内板などの設置もされていました。円形分水、じっと見ていると円筒の真ん中に飛び込みたくなりました(笑)。
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福岡第一飛行場跡

 週末は1泊2日で福岡市百道まで所用で出かけていました。職場の同僚の車に同乗していたので用件が済めば帰るつもりでいたのですが、2日目の午後3時からは自由になります。福岡まで行って寄り道もせず帰るのはもったいないと思っていたところ、「福岡第一飛行場跡」を思い出しました。以前にtksさんのブログ「ALL-A」福岡第一飛行場跡の格納庫や関連遺構が紹介されていたのを見てから、これは是非行ってみたいと思っていたのです。百道から雁ノ巣までは車でいけば遠い距離でもないはず。そう思って同僚にお願いしてみたところ、付き合ってくれることになりました。

 福岡第一飛行場は1936年に開業。陸上にある普通の滑走路に加え、水面から離陸する水上機にも対応できるよう、海(博多湾)に飛行機を降ろすスリップを持っていました。戦後は米軍の基地として使われ、1972年に返還。その後は運動公園となり現在に至っています。

1987年の写真

1987年には格納庫が3棟残っています。格納庫左側が滑走路の敷地です。

スリップ

スリップは意外としっかりしたものでした。

スリップを横から

スリップをよこから。

 飛行機の格納庫は2002年(!)まであったそうですが、現在は既に取り壊されており残っていません。ただし、不思議なことに格納庫があった敷地はそのまま残っており、現在でも床のコンクリートが残っています。

格納庫跡に残る床

格納庫の床を運動公園側から撮影。

Googleの航空写真」には最近の航空写真が掲載されており、はっきりと格納庫の床のコンクリートを確認することができます。ちなみに国土地理院の国土画像情報では1974年の返還間もない時期の「航空写真」を見ることができます。二つを見比べてみると格納庫跡とスリップだけが今も変わらないことがわかると思います。

 雁ノ巣レクリエーションセンターも整備され、博多湾に出来た人工島へと続く道も新たに造られたのに、格納庫跡だけがその隙間にピッタリとはまるようにして未だに手付かずで残っているのは不思議というかとても面白いですね。ところでM本君、きょうは疲れていた所を付き合ってくれてありがとね。
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