2009.05.14 Thursday
佐賀市の銀行建築 3件
佐賀県佐賀市には明治・大正時代の建物が多く残っており、それらの中でも歴史的に重要な建物群を佐賀市が整備し、“佐賀市歴史民俗館”として一般に無料公開しています。
その中心的な建物といえるのがこの旧古賀銀行本店。明治18年、両替商の古賀善平により設立された銀行で、大正8年には九州の5大銀行に数えられるまでに成長したといいます。明治39年に現在地で営業をはじめますが、この建物は大正5年の大改修で増築され完成したものだそうです。しかし不況により大正15年には休業に追い込まれ、昭和8年には解散してしまいます。

旧古賀銀行本店・大正5年
その後は、佐賀商業会議所、佐賀県労働会館、自治労佐賀県本部として使用され、その度に改造・改装されていきます。下の写真は昭和32年頃の同じ建物の写真。角度は僅かに違いますが上の写真と同じ方向からの撮影。特徴的な二つの塔屋が昭和32年の建物にはありません。

旧古賀銀行本店 案内パネルより
実は現在の建物は“最も輝いていた”と言われる大正5年当時の姿を目指して復元修復されたもの。とはいえ、修復には多くの苦労があったと言われるだけあって、実に違和感なく当時の雰囲気をもつ建物になっています。塔屋の部分などは、案内パネルを読むまでは“再現”された部分とは気付きませんでした。

大きな吹き抜けに木製の長いカウンターと、内部はまさに銀行の雰囲気そのもの。カウンター内にはカフェレストランがあり、周辺散策で疲れたらコーヒーで一服もいいかも。二階にはパネルなどの展示室もあります。
その旧古賀銀行から100mも離れていないところにあるのが旧三省銀行です。銀行とは思えない外観。窓には銅板の戸が付けられて、まるで蔵のようです。

旧三省銀行・明治18年
内部も銀行とは思えない造り。カウンターなどなく、入口から入ったら狭い土間があるだけでいきなり畳の座敷になっています。現代の銀行のイメージとかけ離れた建物ですが、それもそのはず。この三省銀行は明治18年に設立され主に米相場取を生業としますが、わずか8年後の明治26年には解散という形で倒産してしまいます。この建物はその当時のものなので、今の銀行の雰囲気とは一味違うものなのでしょう。

内部には大きな吹き抜けの茶の間があったり、二階が洋間になっていたりと、意外性をもつなかなか面白い造りになっています。

その中でも素敵だったのがこの中庭。奥には蔵(金庫室?)があり、左手にある廊下によってその間が結ばれています。
佐賀市歴史民俗館としてはこの他にも、明治期の和風建築である旧古賀家や、大正期の近代和風建築の福田家なども無料で見学することができますので、周辺の街並み散策と合わせて楽しむことができます。
さて、佐賀市歴史民俗館を後にし車で移動していると、狭い商店街の路地へと迷い込んでしまいました。そこで偶然見つけたのが下の写真の建物。

正面入口に「恵比寿ギャラリー」とあるだけで、外見から何の建物かはわかりません。ただ壁には大きな看板が取り外された痕跡があり、その重厚な造りからして銀行だったことが予想できます。

帰宅後、庵田さんのWebサイト「地域文化博物館・高炉館」をチェックして、その正体が判明。それによると「旧佐賀銀行呉服町支店」の建物で、昭和9年竣工とのこと。なるほど迫力があるわけです。

旧佐賀銀行呉服町支店・昭和9年
この建物、現在は「恵比寿ギャラリー」として地域の様々な催し事や展示会などに利用されているようです。
今回は佐賀市の狭い範囲で明治・大正・昭和、それぞれの銀行建築を見ることができました。最後の昭和(旧佐賀銀行呉服町支店)は偶然に見つけたものですが、どうせならこれも“佐賀市歴史民俗館”に組み込んでみたら面白いのではないでしょうか?
【関連記事】
「雑記帳・佐賀市 まちなみ探訪」
【関連・参考サイト】
「佐賀市歴史民俗館」
「地域文化博物館・高炉館」> 産業考古学研究室 > 近代化産業遺産総合リスト > 佐賀市
その中心的な建物といえるのがこの旧古賀銀行本店。明治18年、両替商の古賀善平により設立された銀行で、大正8年には九州の5大銀行に数えられるまでに成長したといいます。明治39年に現在地で営業をはじめますが、この建物は大正5年の大改修で増築され完成したものだそうです。しかし不況により大正15年には休業に追い込まれ、昭和8年には解散してしまいます。

旧古賀銀行本店・大正5年
その後は、佐賀商業会議所、佐賀県労働会館、自治労佐賀県本部として使用され、その度に改造・改装されていきます。下の写真は昭和32年頃の同じ建物の写真。角度は僅かに違いますが上の写真と同じ方向からの撮影。特徴的な二つの塔屋が昭和32年の建物にはありません。

旧古賀銀行本店 案内パネルより
実は現在の建物は“最も輝いていた”と言われる大正5年当時の姿を目指して復元修復されたもの。とはいえ、修復には多くの苦労があったと言われるだけあって、実に違和感なく当時の雰囲気をもつ建物になっています。塔屋の部分などは、案内パネルを読むまでは“再現”された部分とは気付きませんでした。

大きな吹き抜けに木製の長いカウンターと、内部はまさに銀行の雰囲気そのもの。カウンター内にはカフェレストランがあり、周辺散策で疲れたらコーヒーで一服もいいかも。二階にはパネルなどの展示室もあります。
その旧古賀銀行から100mも離れていないところにあるのが旧三省銀行です。銀行とは思えない外観。窓には銅板の戸が付けられて、まるで蔵のようです。

旧三省銀行・明治18年
内部も銀行とは思えない造り。カウンターなどなく、入口から入ったら狭い土間があるだけでいきなり畳の座敷になっています。現代の銀行のイメージとかけ離れた建物ですが、それもそのはず。この三省銀行は明治18年に設立され主に米相場取を生業としますが、わずか8年後の明治26年には解散という形で倒産してしまいます。この建物はその当時のものなので、今の銀行の雰囲気とは一味違うものなのでしょう。

内部には大きな吹き抜けの茶の間があったり、二階が洋間になっていたりと、意外性をもつなかなか面白い造りになっています。

その中でも素敵だったのがこの中庭。奥には蔵(金庫室?)があり、左手にある廊下によってその間が結ばれています。
佐賀市歴史民俗館としてはこの他にも、明治期の和風建築である旧古賀家や、大正期の近代和風建築の福田家なども無料で見学することができますので、周辺の街並み散策と合わせて楽しむことができます。
さて、佐賀市歴史民俗館を後にし車で移動していると、狭い商店街の路地へと迷い込んでしまいました。そこで偶然見つけたのが下の写真の建物。

正面入口に「恵比寿ギャラリー」とあるだけで、外見から何の建物かはわかりません。ただ壁には大きな看板が取り外された痕跡があり、その重厚な造りからして銀行だったことが予想できます。

帰宅後、庵田さんのWebサイト「地域文化博物館・高炉館」をチェックして、その正体が判明。それによると「旧佐賀銀行呉服町支店」の建物で、昭和9年竣工とのこと。なるほど迫力があるわけです。

旧佐賀銀行呉服町支店・昭和9年
この建物、現在は「恵比寿ギャラリー」として地域の様々な催し事や展示会などに利用されているようです。
今回は佐賀市の狭い範囲で明治・大正・昭和、それぞれの銀行建築を見ることができました。最後の昭和(旧佐賀銀行呉服町支店)は偶然に見つけたものですが、どうせならこれも“佐賀市歴史民俗館”に組み込んでみたら面白いのではないでしょうか?
【関連記事】
「雑記帳・佐賀市 まちなみ探訪」
【関連・参考サイト】
「佐賀市歴史民俗館」
「地域文化博物館・高炉館」> 産業考古学研究室 > 近代化産業遺産総合リスト > 佐賀市
旧古賀銀行本店は以前行きましたね。懐かしいです。
しかし何で行ったかさっぱり思い出せない。
近頃かなりアルツ君が進行中のようです。(笑)