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小菅修船場

 長崎市の長崎湾は港に適した地形であるため、大手から中小まで数多くの造船所があります。長崎の造船といえば、まずは三菱重工長崎造船所を連想しますが、そのルーツとなったのが安政4年(1857)に幕府によって設立された「長崎鎔鉄所」(製鉄から船舶の修理・建造も行う工場)です。

 長崎鎔鉄所は明治元年(1868)に官営「長崎製鉄所」となり、それと同年、長崎湾を挟んだ対岸にあたる場所で、日本初の洋式スリップ・ドックを持つ船の修理工場「小菅修船所」が竣工します。

 小菅修船所は、薩摩藩が英国商人のトーマス・グラバー(グラバー園で有名ですね)の協力のもとに建設。グラバーは出資から完成後の管理まで請け負ったそうです。後に官営となり、長崎製鉄所と同じく三菱へと払い下げられますが、そもそもなぜ薩摩藩が長崎で船の修理工場を?という疑問が沸いてきました。Web上で検索してみたところ、わかり易く解説されているサイトを発見。気になる方はWebサイト「NIKKEIアドネット・日本の近代化遺産50選・小菅修船場」を参照してみてください。

小菅修船場

 長崎市の市街地に近い、小さな入り江に小菅修船場はあります。船を修理する施設なので船を陸に揚げるドックがあるのですが、大掛かりなものでなく実にシンプル。緩やかな傾斜にレールが敷かれ、それが海中に続いているだけのものです。満潮時にレール上の台車を船の下に潜り込ませ、潮が引いて船が台車に載ったら蒸気機関を動力とする捲揚機で引き上げていました。

小菅修船場

 ただ驚くのは、現存するその施設のほとんどが、明治元年の竣工当時のものだということです。ボイラーは明治34年に交換されていますが、25馬力の蒸気機関や大減速比の巨大な歯車などは、グラバーがイギリスから輸入した141年も昔のもの。更にそれらを収める建物は、現存する日本最古の煉瓦造建築というからため息が出てしまいます(笑)。

小菅修船場

 建物に使われている煉瓦は、通常より薄く平たい“こんにゃく煉瓦”と呼ばれるもの。建物の壁を近くで見てみると、たくさんの煉瓦に様々なマークが付けられていました。

小菅修船場

 ドックの斜面中央にある歯型のあるレール。歯型は歯車に対応するような形状ではなく、後退を防ぐ目的のラッチのようなものがあったと思われます。

小菅修船場

 二組のレールの上にあるのが船台。この船台の様子がソロバンに似ているということで“ソロバンドック”とも呼ばれていたそうですが、正直現場で見てもソロバンは連想できませんでした。

 
 小菅修船所は国指定史跡でありAランク近代土木遺産。平成19年度には経済産業省により近代化産業遺産の指定も受けています。現在は三菱重工株式会社長崎造船所の所有。敷地内は公園として整備されており、見学は自由にできます。建物内部は見ることが出来ません。

【関連・参考サイト】
NIKKEIアドネット」> 日本の近代化遺産50選 > 小菅修船場跡
長崎県文化ジャンクション」> 文化百選事始め編 > ソロバンドック
高炉館」> 近代化産業遺産総合リスト > 長崎市出島その他地区

【参考文献】
九州遺産」砂田光紀/著・弦書房
遺産探訪/工場・電力関連 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

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