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戸馳島灯台・寺島灯台

 明治の三大築港の一つと呼ばれる三角西港がある熊本県宇城市と天草周辺には、明治30年から31年にかけて5つの灯台が建設されました。その中でも明治31年建造の戸馳島(とばせしま)灯台は、切石積みで作られた当時の姿を残す美しい灯台として知られています。しかし、その所在地が険しい場所にあるためか“アクセスが難しい”と紹介されることも多く、熊本在住の私にとってもなかなか手を出しにくい物件でした。

 険しくアクセスが難しいのであれば、暑くなる前の今の季節に行っておこうということで、Webでそのルートなどを調べてみました。すると、どの紹介文にも“海岸を歩け”と。なるほど道が無いのでアクセスが難しい訳ですね。でも行けばどうにかなるだろうといういつもの思考で現地へ向かいました。一応GPSに戸馳島灯台の座標をセット。

 現地では特に迷う場所も無く、小さな看板もあり意外とスムーズに灯台にたどり着くことができました。宇土半島(三角港側)から戸馳島へ渡るには「戸馳大橋」を通るしかありません。橋を渡り戸馳島へ入ると、交差点や分岐点には戸馳島オリジナルと思われる小さな案内標識があちこちに設置されています。まず、その標識で「片島」へ向かいます。車道は細く心細くもなりますが、戸馳島の南端を目指せばよいわけで迷うことはないでしょう。海岸に近づいてくると「片島灯台→」(戸馳島灯台)という案内板があるので従います。数百メートルも進むとビニールハウスが立ち並ぶ林の中で道が分岐するので、それを右に(木が生い茂る怪しい方に)曲がります。

※この時点で道幅が極端に狭く、駐車スペースもありません。密漁者を警戒しており無断駐車を禁止している場所もあります。私は随分手前で車を停め、徒歩で向かいました。見学に行かれる方は注意してください。

戸馳島灯台への道01

 上写真の細い道を100メートルほど進むと海岸に。軽自動車だったらギリギリ通れると思いますが、木々の枝でゴリゴリなりそう。

戸馳島灯台への道02

 道路はこの海岸で終っています。海岸に出て南側へ進みます。山の上に白い灯台の先端が見えているのがわかりますか?

※当日は本当に何も考えていませんでしたが、おそらく偶然干潮時に通りかかったものと思われます。満潮時や波が高い日はこの海岸を歩くことができないかもしれません。

戸馳島灯台への道03

 海岸を15分ほど歩くとこのような石柱が立っています。石柱には消えかかった文字で「戸馳島灯台用地」とあり、ここから山道へと入って行きます。この山道の入口がわかりにくいので注意が必要。海を背にし石柱を見て、左奥に藪が薄い場所が見えます。その奥に灯台へと登る山道があります。

戸馳島灯台

 しばらく山道を歩いて戸馳島灯台に到着。高台にある灯台敷地からの眺めは絶景です。それにしても真っ白に塗られた灯台建屋は物凄く眩しい!青空といいコントラストを作っていますね。

戸馳島灯台

 敷地全体も精密に加工された石塀で囲まれています。以前は有人管理で事務所もあったということですので、灯台裏手のスペースはそのためのものだったのでしょう。昭和39年までは、職員とその家族が敷地内の宿舎に住んでいたそうです。

戸馳島灯台

 灯塔の下部には窓の痕跡が。後方の付随建物南側の窓も埋められており、窓は北側の一つだけのようです。

戸馳島灯台

 背後(東側)には出入り口があるだけ。平屋に灯篭がちょこんと乗っただけのような姿をしていますが、実際に高さ8.2メートルしかない小さな灯台です。ただ設置場所が海抜約26.3メートルなので十分なのでしょう。

戸馳島灯台

 さて、灯台といえば巨大なレンズも見所のひとつ。そう思って灯塔を見上げてみると…。あれ?レンズは?大きなフレネルレンズの代わりにハイテクを感じさせる小さな機器が設置されています。で、帰宅後Webで調べてみると「LED灯器(V型白)」と判明(※1)。発光ダイオード360個を使用し4秒に1回点灯するものだそうです。近年のLEDの明るさと言ったら凄まじく進化していますが、まさか灯台の光源に使われるまでになっていたとは驚きです。LEDの特徴である小型で長寿命、省電力ということも、このような立地の灯台では有利なのでしょう。もしかしたら左手にある太陽電池でその電力をまかなっているのかな?

 戸馳島灯台も、地形図を片手に“歩く”ことを楽しめば、特に“アクセスは難しい”ことはないようです。上記赤文字の幾つかの注意点はありますが、ここは眺めもよくオススメの物件です。そして戸馳島灯台見学の際には、直ぐ近くにある「寺島灯台」もご覧になることをオススメします。

寺島灯台

 寺島灯台は戸馳島灯台と同じ明治31年竣工。無人島に建っているので近くから見るには船が必要ですが、三角港の岸壁からもこのように見ることができます。真っ白ですのでコンクリート造にも見えますが、戸馳島灯台と同じく石造です。上写真は200mmの望遠レンズで撮影したもの。灯台とその背景に見える陸地(維和島)とは繋がっていません。

寺島灯台

 寺島灯台を戸馳島の海岸から撮影。三角港より僅かに近づくことができます。写真はカメラD300、レンズ200mmで撮影、pixel等倍でトリミングしたもの。


 上側のマーカーが寺島灯台。下側のマーカーが戸馳島灯台。赤いラインの部分は徒歩でなければ進むことができません。

(※1)海上保安庁Webページ内PDFドキュメントに記述あり。

【参考・関連サイト】
海上保安庁」> 明治期の現役灯台 > 戸馳島灯台寺島灯台

【参考文献】
九州遺産」砂田光紀/著・弦書房
遺産探訪/建築・土木関連 | permalink | comments(5) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

こんばんは。
探検、おつかれさまです。
灯台、今はLEDなんですね。知りませんでした。
太陽光発電のパネルはおそらくそのLED用だとおもいますよ。
それにしても、帰り道が満潮でなくてよかったですね。
まるかっす | 2010/05/04 9:21 PM
お久しぶりです。今回の探索活動の報告、非常に面白かったです。灯台が、LEDとは知らんやった。今度は、水の子島灯台に探索お願いします。これからも調査・探索活動の報告楽しみにしてます。
テコン1号  | 2010/05/06 12:57 PM
>まるかっすさん

言われてみれば帰りが満潮だったら怖いですね(汗)。
LED恐るべしです。

>テコン1号さん

お久しぶりです。元気ですか?
水の子島灯台は確かに魅力的ですが、いつもの調子で探索するのは流石に無理かと…(笑)。
ゴン太@管理人 | 2010/05/10 12:03 AM
いまでこそ無人で運用できる灯台ですが、むかしは職員が常駐するのがあたりまえだったんですよね。
何人交代だったかは知りませんが、家族もいっしょに宿舎に住んでいたとか。
灯台といえばだれもいない遠隔地も多いものです。今考えると大変な職業だったことと思われます。
まるかっす | 2010/05/10 7:35 PM
確かに職員の生活を考えると大変だったでしょうね。
この戸馳島灯台も職員が住んでいたとのこと。灯台敷地の外にもコンクリートの構造物や井戸などが残っていました。
ゴン太 | 2010/05/13 10:44 PM
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