2010.12.10 Friday
五ヶ瀬川発電所
五ヶ瀬川水系の日窒(旭化成)関連発電所巡り、4回目は五ヶ瀬川発電所です。この発電所は大正9年設立の五ヶ瀬川電力株式会社により建設されます。大正11年7月に着工しますが、延岡からの機材・資材の運搬は非常に困難を極めたとのこと。輸送は牛馬と人力に頼るもので、発電機などの重量物は平底の船で五ヶ瀬川を遡り、途中からは牛を使いコロ引きしたそうです。それでも馬見原発電所などに比べると立地としては条件が良かったようで、他とは違う大型の発電所が建設できたのだと思います。
大正14年1月に発電所は完成しますが、翌年8月に五ヶ瀬川電力株式会社は日窒に買収されることに。この時代の日窒の発電所建設は、一旦新たに設立された別会社により行なわれることがあります。この五ヶ瀬川電力以外にも緑川電力※(緑川発電所)、阿蘇水力電気(馬見原発電所)などがあり、いずれも竣工して何年も経たないうちに買収、譲渡などで日窒に吸収されてしまっています。明らかに日窒の工場への送電を想定した発電所ですので、初めから日窒の手で建設すればいいのではないか?という疑問が。このような事例は他にもありそうで、何か理由があったのかもしれませんね。
※緑川電力は津留発電所を作った会社で、日窒の「旧緑川発電所」とは関係ない。2013年3月4日追記。
宮崎県日之影町の五ヶ瀬川沿いにある旭化成五ヶ瀬川発電所。廃線となった高千穂鉄道の日之影駅から500mほど延岡側へ行くと見えてきます。
3本の水圧鉄管があり、建物もこれまでの発電所に比べると大きくなっています。最大出力も13,500kwと、馬見原や川走川第一第二と比べ一桁違います。
対岸の県道237号から良く見えるためか、壁面には大きな「旭化成」の文字が見えます。
こちら側から見る建屋は、馬見原や川走川第一第二とほぼ同じ意匠です。ただ、丸窓に見える部分は換気口程度の穴が開いているだけのようでした。また、コンクリートブロック構造なのか、鉄筋コンクリート造なのかは外観からは判断がつきません(資料不足…スミマセン)。
発電所の裏手には車道が通っており、なんと水圧鉄管と発電所建屋の間を通り抜けることができます。直径2mはあろうかと思う水圧鉄管3本は迫力満点。その水圧鉄管と発電所建屋の接合部分真上に立つと、重低音で“ゴー”という水力発電所独特の腹に響く振動と音を堪能できます(笑)。
反対側に回って、こちらは放水口。水圧鉄管から発電所建屋に入った水は、(発電機の)水車を回した後にここから五ヶ瀬川に排出されます。石組みの三連アーチが特徴的で、周りの石垣も立派。
五ヶ瀬川下流側から見ると、上部水槽・水圧鉄管・発電所建屋・放水口と施設全体を一望することができます。取水堰などの設備も見てみたかったのですが、今回は時間が無く断念。あらためて行ってみたいと思っています。
上記説明の通り高千穂鉄道の日之影駅を目指して行けば、五ヶ瀬川対岸に簡単に見つけることができます。
【関連記事】
「雑記帳:馬見原発電所」
「雑記帳:川走川第一発電所」
「雑記帳:川走川第二発電所」
「雑記帳:五ヶ瀬川発電所」
「報告書」> 日窒鏡工場跡・小千代橋 > No.05
【参考文献・資料】
「一級河川における水力発電施設諸元一覧 九州地方整備局管内」国土交通省
「熊本県の近代化遺産 近代化遺産総合調査報告」熊本県教育委員会
大正14年1月に発電所は完成しますが、翌年8月に五ヶ瀬川電力株式会社は日窒に買収されることに。この時代の日窒の発電所建設は、一旦新たに設立された別会社により行なわれることがあります。この五ヶ瀬川電力以外にも
※緑川電力は津留発電所を作った会社で、日窒の「旧緑川発電所」とは関係ない。2013年3月4日追記。
宮崎県日之影町の五ヶ瀬川沿いにある旭化成五ヶ瀬川発電所。廃線となった高千穂鉄道の日之影駅から500mほど延岡側へ行くと見えてきます。
3本の水圧鉄管があり、建物もこれまでの発電所に比べると大きくなっています。最大出力も13,500kwと、馬見原や川走川第一第二と比べ一桁違います。
対岸の県道237号から良く見えるためか、壁面には大きな「旭化成」の文字が見えます。
こちら側から見る建屋は、馬見原や川走川第一第二とほぼ同じ意匠です。ただ、丸窓に見える部分は換気口程度の穴が開いているだけのようでした。また、コンクリートブロック構造なのか、鉄筋コンクリート造なのかは外観からは判断がつきません(資料不足…スミマセン)。
発電所の裏手には車道が通っており、なんと水圧鉄管と発電所建屋の間を通り抜けることができます。直径2mはあろうかと思う水圧鉄管3本は迫力満点。その水圧鉄管と発電所建屋の接合部分真上に立つと、重低音で“ゴー”という水力発電所独特の腹に響く振動と音を堪能できます(笑)。
反対側に回って、こちらは放水口。水圧鉄管から発電所建屋に入った水は、(発電機の)水車を回した後にここから五ヶ瀬川に排出されます。石組みの三連アーチが特徴的で、周りの石垣も立派。
五ヶ瀬川下流側から見ると、上部水槽・水圧鉄管・発電所建屋・放水口と施設全体を一望することができます。取水堰などの設備も見てみたかったのですが、今回は時間が無く断念。あらためて行ってみたいと思っています。
上記説明の通り高千穂鉄道の日之影駅を目指して行けば、五ヶ瀬川対岸に簡単に見つけることができます。
【関連記事】
「雑記帳:馬見原発電所」
「雑記帳:川走川第一発電所」
「雑記帳:川走川第二発電所」
「雑記帳:五ヶ瀬川発電所」
「報告書」> 日窒鏡工場跡・小千代橋 > No.05
【参考文献・資料】
「一級河川における水力発電施設諸元一覧 九州地方整備局管内」国土交通省
「熊本県の近代化遺産 近代化遺産総合調査報告」熊本県教育委員会
取水設備は二つあるようですね。
私は小さい方を見ました。(日向川取水堰)
次は高千穂発電所をアップしてください〜。